北広島市 岡本大輔さん
北広島市で生まれ育ち、幼い頃は自転車や機械にふれる日々を過ごす。 高校卒業後3年間サラリーマンとして働き、24歳で札幌の某有名自転車屋さんに転職。独立すること前提に修行として5年間勤める。その後、29歳でオカモトサイクルを開業。北広島に1軒しかない自転車屋として現在4年目。子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで幅広い年代の人が訪れる。お客さんと話しをしながらその人の理想、体型にピッタリな自転車をつくりだしている。

独立するための、就職

ー どのようなお仕事をされていますか?

ママチャリと呼ばれている一般車からロードレーサー、マウンテンバイクなどのスポーツ用の自転車の販売、修理をしています。この辺りのおばちゃん、おじちゃん、子どもも来ますし、スポーツ車を求めて札幌、恵庭、千歳、長沼、南幌、岩見沢、苫小牧など様々な場所からお客さんが来てくれています。僕が自転車に乗るのは遊び程度なので競技には出ませんが、お客さんの中にはアマチュア競技に出ている方や、ツールド北海道の一般の部に参加されている方もいらっしゃいます。レースには出ないけど、自転車の修理や調整をさせてもらうことでお客さんと一緒にレースを走っている気持ちになりますね。

ー その職業についたきっかけは何ですか?

高校を卒業してから3年間サラリーマンとして働いていました。この先ずっとサラリーマンをやっていくイメージが持てなかったので、3年目で区切りをつけ辞めたのです。自分で何かをやりたいという想いと、とにかく手に職を身に付けたいという思いが強く、自分のできる機械のことを仕事にしようと漠然と思いました。その後、半年ごとに仕事を転々としました。僕は当時21歳でしたが、見ていた求人票は18歳~25歳の求人年齢のものが多かったのです。逆説的に言えば、25歳まで遊べる!と思ったのと、25歳までには何かこれだ!という職種をみつけようと思いました。そうやってふらふらとしていたのですが24歳の時、札幌の自転車屋さんで自転車を購入したことがきっかけで、「自転車屋だったらできそうだな」と失礼ながら感じました。小さい頃から自転車を直していたこともあったので、そういう気持ちになったのではないでしょうか。そこで自転車を購入したお店に直接、仕事をさせて欲しいと話しました。「バイトは必要無い」と返答があったのですが、「自分で店を出すことを前提として働きたい。」という話をすると「そこまで本気だったらやってみな。5年間やって自分でお店出せないようだったら力量がないから辞めた方がいいよ。」と。30歳までには独立したい気持ちもあったので、5年間は修行だなと思い、働きはじめました。この修行期間にいろんな人との出会い、今の自分がいる感じですね。お世話になった社長は僕の師匠です。

ー 自転車屋の仕事は想像通りでしたか?

想像と全く違いました。僕は技術的な面で自転車屋をやりたいと思っていました。でも自転車屋は、なんだかんだいって物売りなんですよね。その時師匠に「技術はあって当たり前。売らなきゃその技術は見せられない。」と言われた時に、技術があるから自転車が売れるわけでなく、売ったものに対して技術を発揮するという流れをしりました。自分の考えていた順番とまったく逆でした。「接客がやりたくて自転車屋に入ったわけではない!」と思い、その時はショックでしたね。当たり前なんですが、販売に対して力をいれないと自転車屋って商売として成立しない。その時に現実を見ましたね。僕自身はお金を儲けるということにまったく欲がないんです。今は家族がいるので、生活していかなければならないのできっちり仕事をして、きっちりお金を得ていかなければと思うけど、高い自転車を売ろうが、安い自転車を売ろうがそんなに感覚は変わりません。高い自転車売ってやったぜ!といって高揚するようなことは無いですね。

北広島に1軒しかない自転車屋

ー もっとも大きな節目や転機を感じた時期はいつごろですか?

29歳にこのお店を出したころが節目だと思います。僕が子どもの頃は3軒くらい自転車屋があったのですが、開業当時は北広島に1軒も自転車屋さんが無かったので、お店を出せば人は来るだろうと気軽に考えていました。しかし、開店してから3ヶ月間は新規のお客さんの来店が全然ありませんでした。そうなると必然的に経済的な面で苦しくもなりますし、なによりも仕事へのモチベーションが上がらないんですよね。そうこうしているうちに、続けていることで知らず知らずのうちにこのお店の存在が周りに知られていきました。ただ単に地元だからと出したこのまちの人たちから「自転車屋ができてよかった。」「助かった。」などと声を聞くと、お店を出したことは間違っていなかったと強く思ったし、何よりもこのまちにいる使命感を感じました。まちといえば、北広島市が事業としてエルフィンロード「自転車の駅」でレンタル用自転車を保有していますが、当店ではその内の一部を点検・整備・修理の依頼を受け、ご利用いただいています。今年は十数台分の整備・修理依頼がありました。 自転車の駅へ来場されたお客様へも積極的に当店を紹介していただいたりしているようです。北広島市内の方に限らず、他の市町村の方へ当店を知っていただける機会があるのはとても嬉しく思います。また、商店街で企画するお祭りの景品などを調達する際にも当店を利用していただく機会があります。景品を受け取る方へ「その後のフォローはオカモトサイクルをご利用ください」をお伝えいただくことで、結果として少なからず当店のアピールと なっているのではないかと大変感謝するところです。このような「連携」は特権と感じていますし、当然責任も感じています。その責任を全うすることで、このような「連携」を特権として維持できると考えています。

ー 自転車屋のお仕事ならではの達成感やこだわりのポイントはなんですか?

自転車に乗ることで豊かな北海道の自然を思いっきり楽しんで欲しいという想いから、この自転車屋を「地球を楽しむ自転車屋」と伝えています。自転車をきっかけに遊びの発見をして欲しいので、お客さんと一緒に自転車で遊ぶ機会も多いです。僕はカメラやスキーが趣味なんですが、自転車好きな方は色んな趣味を持っているかたが多くて、集まるといつも情報交換をしています。春から秋にかけての自転車シーズンを満喫する機会を、僕自身からつくりだすこと、そしてそれを楽しんでくれるお客さんがいることはとても嬉しいです。こういう場づくりはお客さん同士が仲良くなる機会でもあるので、お店に自然と人が集まって、お客さん同士が楽しそうに話しをしている姿をみると、「この場所をつくることができてよかった」という気持ちになりますね。

地域をサポートしたい

ー 今後の将来像として、岡本さんが目指している姿はどのようなものですか?

自転車を通してこの地域に根ざし、「街の自転車屋」という看板において、地域の人たちの生活や趣味を広い範囲でサポートできるようなお店 になりたいと思っています。昔は自転車屋がストーブの分解掃除なども手がけていたという話を聞いたことがあります。もちろん現在は当店では受け付けてはいませんし、作業環境などの問題で手がけるには困難です。しかし、そのスタイルが僕の目指すスタイルで、自分が応えることができる事はなるべくでも多く広い分野で受けていきたいと思っています。ただし、これらの将来像はかなり地域に的を絞った場合でのビジョンであり、それがオカモトサイクルの大前提です。自転車屋として、もしくは機械屋としての将来像は別のところにあります。自転車修理において、部品を交換するという作業だけではなく、精度を追求したりレストア(修復や復元をすること)、塗装(塗料を塗ること)などをも実施できるようにしていきたいと考えていま す。現在の自分の技術ではお客様へお渡しできるクオリティではないため、少しずつ勉強している段階なので、ご依頼いただいてもお受けすることはで きません。しっかりと納得できるクオリティに達したときに、仕事の幅を少しずつ広げていきたいと思っています。多くの地域から自分のもとに悩みを抱えた自転車とそのユーザーの方達が集まってくれるような、そんなお店となれるのが夢であり目標です。また、北広島は自転車でサイクリングを楽しむ上で、非常に恵まれた環境です。多くの方が知るとおり、札幌市までをつなぐサイクリングロードの「エルフィンロード」があり、住宅地の中にも起伏に富んだ環状の遊歩道があります。
近隣の町からの通過点としてだけ存在するのではなく、サイクリスト達の休憩地点として利用してもらえるようなスポットが増えたらいいなと感じます。地元の飲食店や施設との連携が実現できたら良いなとも思いますし、MTB(マウンテンバイク)のフィールドを施設として新設したりとか・・・理想は尽きません。自分が実現に向けて動けるように働いていきたいです。

はたらきっぷ=師匠の言葉

ー 今の仕事に興味を持ったきっかけ、仕事に対する価値観が変わったきっかけなどを駅に例えて、きっぷに書き込んでみてください。

「自転車屋が相談をする自転車の技術屋」を実際にやっている2人目の師匠は、 自転車を組み立てるだけの自転車屋ではなく、自転車を0からつくりあげることの面白さを教えてくれた方です。「0からつくるのが職人」はその師匠から言われた言葉で、常にたくさんの新しい知識と技術を生み出し、今もそれを惜しみなく僕に教えてくれます。 師匠のその言葉でただの組み立てるだけの自転車屋ではなく、0から自転車をつくりあげる自転車屋になっていきたいと強く思うきっかけをもらいました。

オカモトサイクル
代表   岡本大輔
住所   北広島市新富町西1丁目1-12-101
TEL   011-375-9930
URL   http://www.oka-chari.com
MAIL   dsk@oka-chari.com