昭和28年以降、厚別付近には酪農家が多く集まり、そのほとんどの牛乳が雪印乳業へ運ばれていた。自分達で製品化をしたいと言う想いで「札幌市厚別酪農業協同組合」が設立され市乳事業が始まった。その後、工場が手狭になり新札幌に移転するが、都市化が進み農協の組合員である酪農家さんたちの移転・離農が増え、農協として成り立たない事から行政より指導が入り、平成元年に新札幌乳業株式会社を設立。その後、江別にある小林牧場の牛乳のみで、自社のオリジナル製品「小林牧場物語」をつくり販売し始めた。札幌の酪農発祥の地・新札幌で乳製品の加工・販売を行う新札幌乳業の照井常務にお話を聞いた。

生産者の顔が見える良質な商品

小林牧場の生乳のみでの商品作りを行ったのはこの土地のロケーションにあるのかもしれない。牧場と工場は車で10分程、搾乳後24時間以内の新鮮な生乳が運ばれてくるのは物理的にはもちろんメリットだが、それ以上に近いからこそ、コミュニケーションがとれてできた信頼関係は大きいと言う。「当時、生産者の顔が見える・良質の商品を作りたく、オリジナルの低温殺菌牛乳をつくろうと考えていたのです。小林牧場初代農主が酪農協同組合の組合長だったのと、2代目の小林惟彦さんは美味しい牛乳をつくるため、土・草・牛の循環型酪農に取り組んでいたことから、100%小林牧場の生乳を使い商品をつくる事を決めました。ただし、実際つくってみると低温殺菌だと少し生臭さが残ったんです。小林牧場の原料の美味しさを知っていたからこそ、本来の品質に近い製造方法を検討しました。様々な方法を試して、従来65℃30分という低温殺菌方法ではなく、85℃30分間パスチャライズ殺菌を採用し原料の美味しさに近づけようとしました。牧場に訪れることが多く、原料の味をきちんと理解し、生産者の考えている事やお互いに悩んでいる事などを話し、分かりあえていたことで、できあがった商品だと思います。」工場と牧場が近いからこその信頼関係がつくられ、生産者とのコミュニケーションがとれ、尊重しあってこその良いパートナーなのだろう。

相談し合える環境

現在地元の小学校では、新札幌乳業の牛乳が給食で提供されているが、この地域でもっと一般の人達にも身近に感じてもらえる企業になりたと考えている。「今後は小林牧場に、お客さんが訪れやすいような施設づくりも考えています。ただ商品を売るだけでなく、人が集まりやすい環境づくりなど、今後の相談をしています。小林牧場さんとは市は違いますが、この地域でお互いに良いパートナーとして続けていきたいと思ってます。この地域は酪農大学も近くにあるので、教授や学生、いろいろな人達に相談できるんです。」照井さん自身、酪農大学を卒業している為とても詳しく、照井さんならではのアドバイスや意見もきっとあるのだろう。

信頼できる生産者、パートナーがいるからこそ

工場の規模を考えると、郊外へ移転すればもっと大規模な工場にすることもできるが、そうしないのには、物流にとても便利な環境と、昔から働いてくれている従業員への配慮にあるという。そしてなにもよりも、信頼のできる生産者、パートナーがいるからこそではないだろうか。

新札幌乳業株式会社
常務取締役   照井例次
住所   札幌市厚別区厚別東4条1丁目1番7号
TEL   011-897-1661
FAX   011-897-1670
URL   http://www.shinsapporo-milk.co.jp