新篠津村に生まれ、住み、農業を始めて4代目になる佐藤勇さんは、奥さんと息子さん夫婦で無添加にこだわり、キムチをつくり以前はお米の他に野菜を20年以上栽培していた農家だったという佐藤さんが、新篠津でキムチをつくり初めたお話を聞いた。

本場韓国で学んだキムチの技術

専業農家だった佐藤さんがキムチをつくり始めたのは約10年前、自分の作った白菜の規格外品をどうにかして売り物にできないかと思い、白菜といえばキムチという安易な考え方で始めたのがきっかけだったという。「実際作ってみるとキムチは繊細な食べ物で素材の味が大切だというのがすぐに分かり、製造方法を見直したんです。規格外の白菜を使うなんてとんでもない素人発想でした。でも、そんな安易な考えでスタートしたからこそ始めることができたんだと思います。自分の育てた白菜を、キムチに加工して販売していたんですから、いわゆる6次産業ということですよね。いまだからこそ、6次産業化や地産地消と言われていますが、そのころはそんな言葉はなかったと思います。農家がつくるキムチは珍しがられて、いろいろなメディアが取材にきましたよ。でも、ただ売るだけではなく、味・品質に納得のできるキムチを販売したいと考え、キムチの本場韓国で技術を学びました。自分の納得のいくキムチをつくってきたので、今も続けられているのだと思います。」6年前に、家族だけでは農業とキムチ作りの両立はできないと考え、キムチづくりに専念したという。

「新篠津は道内の若い農業者の憧れの場所。」

佐藤さん自身は農業を離れたが、そのころから新篠津村はオーガニックというブランディングがされつつあり、自分も安心・安全な無添加のキムチをつくることで、村のイメージアップに貢献できると考えたのだ。
「うちのキムチを買って頂いたお客さんからの手紙で、新篠津村は道内の若い農業者の憧れの場所になっていると話を聞いた時は、本当に嬉しかったですね。自分は農業から離れたけれども、農業も新篠津村も大好きなので、その手紙を村長へ届けました。これからの新篠津の農業を担う、元気ある若者たちの背中を押して欲しいという、強い想いがあります。」地元と農業を思うからこそ、これらの農業はもっと企業的な経営にシフトしていくべきだと佐藤さんは考えている。自分自身が家族で農業に取り組んでいたからこそ思う気持ちだろう。

村民ひとり一人がつくりだしている、新篠津のイメージ

新篠津村が農村地帯として成功しているのは、村全体の協調性が昔から根付いているからかもしれない。「昭和40年代後半から50年の前半にかけて、米栽培の転作を強いられた時には、みんなで協力し合って乗り越えられたんです。他の農村地帯では誰がお米の栽培を辞めるかといった、個人が犠牲になるのがほとんどの状態だったが、新篠津村では誰か一人に負担を強いるのではなく、村全体でみんなが少しずつ転作をして、その時代を乗り越えてきたのです。今この年になってもその気持ちは変わらないし、周りにも感じます。」今までの歴史があり、村民ひとり一人が新篠津村のイメージをつくりだしているに違いない。

農業も加工品の製造業も同じで、新篠津村全体でつくり続けるべきだと考えている。「村民ひとり一人が真面目に取り組んでいるからこそ、自分は新篠津村の名前を汚さないように、きちんとしたものをつくり、販売してゆくつもりです。自分だけが儲かればいいと気持ちでは、長くは続かないと思っています。」 新篠津村は強調性のある村だからこそ、互いに情報交換をしながら研究し、自分は特に安心・安全な美味しい無添加のキムチをつくり続けたいと考えているという。
有限会社実勇産業「造り家」
代表   佐藤勇
住所   石狩郡新篠津村第35線北32番地
TEL/FAX   0126-58-3532