当別生まれ、当別育ち。農家の家に生まれ幼少期は家の手伝いとして農作業に触れる。高校入学をきっかけに札幌へ。大学を卒業後、一般企業へ事務職として就職。その後、結婚し専業主婦へ。陶芸、ヨガ、着付けなどいろんな教室に参加し主婦を満喫。実家の建て替えをきっかけに当別へ戻り、当別の小中学校の給食づくりの仕事に就く。学校が夏休みの間にしていた、実家の手伝いをきっかけに、ふれあい倉庫や札幌市内での野菜販売の仕事をしてみないかと声をかけられ、札幌市中央区狸小路5丁目にある道産食彩HUGへ当別の野菜を運ぶ配達員として就職。大の野菜好き。当別の農家さんや、販売を通して出会うお客さまとの情報交換を活かし、当別の野菜をPRする日々。

自然に仕事をしていたら、声をかけられた

ー 狩野さんが働いている「ふれあい倉庫」とは、どのような建物なのですか?

今、ふれあい倉庫は5年目となり、
当初、私のHUG事業は緊急雇用として雇われていましたが、
今年度は役場からの運営資金を頂きながら、運営しています。
また、倉庫自体は今も役場、JA商工会から補助金を出資していただきながら運営をしています。

ー なぜ「ふれあい倉庫」で働くことになったのですか?

農家である父がここの直売所に野菜を出していたのですが、
札幌に住んでいた私はふれあい倉庫の存在を知りませんでした。
実家の家の建て替えを機に当別に帰ってきたのですが、
当時、当別の小中学校給食をつくる仕事をしていて、
学校の夏休み期間は両親の農家の手伝いをし、ここに野菜を出荷していました。
手伝いをしている時に、ここを管轄している役場の方から
「来週、狸小路で野菜を売るのだけど手伝いにこない?」と声かけられ、
参加したことが今となっては大きなきっかけだと思います。
夏の期間、野菜の販売をやりきった後に役場の方から「どうでしたか?」という問いに、
素直に「楽しかったです。」と伝えると、「じゃあ、そういう仕事があるんだけどやらない?」と
会話が進み、給食の仕事もあったので1ヶ月悩んだ末「人生の転機だ」と思い、
HUGマートのオープンと同時に当別から野菜を運ぶ人間としてふれあい倉庫に雇われ始めました。

ー 新たな仕事に就くにあたってやったことはありましたか?

私は野菜販売員の資格もなければ、
経理や簿記に長けているわけでもないし、栄養士でもありません。
ただ、特徴といえば農家の娘で両親が野菜をつくっている苦労を知っているということ。
お母さんが毎朝早く起きていることや、
野菜をどうやって荷造りしているかなどは、身近なこととして知っています。
そして、それをちゃんと購入してくださる方に伝えたいと考えていました。
なので、この仕事に就く前にフードマイスターを取得し、
販売の現場に立つことになってから野菜ソムリエの資格も取得しました。

お客様の声をしっかり聞くこと

ー どの様な時に、その職種で「やっていける」という手応えを感じましたか?

春にこの仕事に採用されたのですが、春は野菜が無く加工品だけですよね。
それだけだとやはり選び甲斐も無いので、雪の下を掘って寝わさびを穫らせていただいたり、
意外と商品になるものがあることを知りました。
GW時期はハウスでつくったアスパラの出荷が始まり、店頭でも大人気になります。
帰りの車でHUGから「明日もアスパラ入りますか?」と連絡があったときは
「どんどん天気になれ!アスパラのびろ~!」とってもテンションが上がりました。
自分が運んで納品した野菜たちがすぐに売れとても嬉しかったですね。
HUGに野菜を運んで1年目で想定していた売り上げよりも多く売ることができ、
金額での成果、お客様の声を近くで聞くことでよりいっそう、
成果を感じ続けて行ける手応えとなりました。

ー 狩野さんにとって仕事の達成感とはなんでしょうか?

HUGで納品すると開店前に並んでいる方もいて、
そうなると大体顔見知りになってくるんですね。
「今日はなにがあるの?」と会話が始まって、
違う催事に出店していると、「あんたいつもHUGに居る人だよね。いつも買ってるよ。」
と声をかけていただいて、さらにリピートしてくださる方もいらっしゃいます。
また、HUGで購入された方が当別まで来てくださることもありました。
自分のやったことで、お客さまの気持ちや行動を動かせた時に達成感を感じますね。

ー ご自分の仕事のポリシーはどういったことがありますか?

1年間365日のうち、基本的に月曜日がお休みです。
なので300日くらい出勤していて、そのほとんどはHUGに行っています。
自分のポリシーはきちんと行くことですね。
HUGマートは北海道内から食材が集まっているのですが、
野菜を収穫当日に運べるのって、札幌近郊でしか現実的ではないですよね。
ましてや農家さんが収穫もして野菜を運ぶことをやるとなると、
午前中いっぱい収穫作業をして、午後に配送となります。
そうなると、朝捥ぎが提供できなくなってしまう。
なので、その配送部分を私が朝いちで運んで開店前のお店に持っていきます。
その穫れたての野菜を待ってくれている相手がいることを考えると、
きちんと行くこと。はとても大切なことです。
朝捥ぎを運べるという立場にいれることが嬉しいですね。
だからしっかりと正直な野菜たちを運びたいです。

農家さんのことを考えると未来が見える

ー お客さんや農家のみなさんのことを考えると休むことのできない仕事ですね。

そうなんです。
夜中に39度まで発熱して、誰かに次の日休みたいと声をかけたいのですが、
農家の方は明日出す野菜をすでに前日から準備していたりします。
待ってくれている方々が居ることを考えると、熱があり、体調が良くなくても出向きました。
農家さんに「今日、私熱あるんだ。今日は野菜運べるけど、明日は休むね。」
と直接伝えることが大切だと思っています。
今、携帯はありますが年配の農家さんだと固定電話しかなかったり、持ち歩かなかったり、
夜中だと既に寝ていたりするので、とりあえず朝起きて朦朧(もうろう)としながらも
各農家さんに向かいました。
それは自分の母親に置き換えても同じで、
私ではないHUG連絡員が来ると思ったら野菜を磨いて準備していたりします。
その翌日、その人がこなかったら「バカにしているのか」ではないけれど、
信頼を失うのが解るので、、、

ー 農家の方たちとはどんなコミュニケーションがありますか?

もっといいお店をつくりたいです。
前の晩雨が降って、持ってきた葉ものが汚れていたら、
「畑はどうだったの~?」「ひっどくて膝までドロドロだったさ~」とか
そういう日々の会話の中から、「来週こんなものが穫れそうだよ」とか
「来月まである予定だったんだけど、今日でこれは終わりだわ」など
朝の身請けの時のたわいのない会話から、
HUGで「トマト人気だから来週もありますか?」という問いに
「あ!今朝、今日で終わり」と言っていたな、、、
と農家さんの情報をイチ早く伝えることができます。
HUGのお客様は飲食店の方も多いので、
一度気に入っていただけたら、継続的にその食材を求められることもあります。
そういった時は農家さんにもお客様のニーズを伝えますし、
お客様には農家さんの現状をお伝えしたりもしています。

ー これから5年後の将来像として、目指している姿などありますか?

仕事始めて4年目。
最近は、野菜を売る現場でお客さんのニーズを伺い、その情報を農家さんに伝え、
新しい野菜をつくってもらうことで、販売利益の確保もでき始めています。
例えば、ルッコラの需要を札幌で感じた時に、
当別の農家さんに「ルッコラつくってみませんか?」と写真を見せたりしてみました。
年配の農家さんになればなるほど、野菜を作るのプロだけど、
食べたこと見たことが無いという方も少なくはありません。
飲食店さんが育て上げたルッコラを美味しかったと伝えてくれたことを、しっかり農家さんに伝え、
また蒔いて育ててくださると、需要と供給のバランスがとれてきますよね。

これからは、収穫の仕方、パッケージの工夫、小分けにする、大袋にするなど
街場の方の欲しいものの情報をもっと共有していきたいです。
年齢を重ねた農家さんは重い作物はつくりにくくなります。
でも小さいもので収益があがるものをつくれば、生活の支えができる。
そういった意識を今持てるのも、4年間の積み重ねがあるからだと思います。

また、当別は大豆の生産量が全道5、6位なのですが、
当別には地元のお豆腐屋さんが無いので、外注になっています。
原料は当別なのに加工は外というのが残念なことだと思うので、
地元でものがつくられる流れを作りたいですね。

はたらきっぷ=父の背中

ー 今の仕事に興味を持ったきっかけ、仕事に対する価値観が変わったきっかけなどを駅に例えて、きっぷに書き込んでみてください。

父は農家をしながら庸車(ようしゃ)の仕事もしていました。
農業者が農協から頼まれて納屋にいって
袋に入ったお米や麦を農協の倉庫に運ぶ仕事です。
子どものころずっと、自分の畑作業を片付けたら農協へ行って、
その日のすべき役割である、各お宅に出向き行って、
積んで、おろして、を毎年繰り返していました。
人様が手塩にかけた野菜をお預かりして、納品している。
形態は違うけれど、父がしていることを、
同じ様に私が今しているなと思っています。
根幹にあるのは人様が大事につくったものを
お預かりして、運ぶということ。
今のこの仕事は自分にとって、
運命だったのかもしれないと思います。
ふれあい倉庫
HUG配達員   狩野菊恵
住所   北海道石狩郡当別町錦町294番地4
    (JR石狩当別駅南口から徒歩1分)
TEL   0133-27-6600
URL   www.town.tobetsu.hokkaido. jp/kanko/akarenga6